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平安京（平安宮大内裏） 延暦十三年（七九四）十月二十二日、桓武天皇は長岡京から山背国葛野郡・愛宕郡に造営中の新都へ向けて車駕を進めました。 同月二十八日には「葛野の大宮の地は山川も麗しく、四方の国の百姓の参り出で来ん事も便にして、云々」と遷都の詔（みことのり）が発布され平安京の始まりとなります。 平安京の大内裏（平安宮）は中央部に位置しており、北は一条大路（一条通）、南は二条大路（二条通）、東は大宮大路（大宮通）、西は西大宮大路（御前通）に囲まれた、東西約一一四六ｍ、南北約一三七二ｍの範囲を占めています。 天皇の住居である内裏は大内裏中央に設けられました。国家の重要儀式をとりおこなう朝堂院、公式の宴会場である豊楽院、さらにはその他の官衙（かんが）群が集中しており、まさに平安時代の国家の中枢となる場所となりました。
内裏は外郭と内郭という二重構造からなっており、外郭（東西約二一九ｍ、南北約三一八ｍ）は築地塀（ついじべい）、内郭（東西約一七一ｍ、南北約二一六ｍ）は廻廊によって取り囲まれていました。外郭の正門である建礼門、内郭の正門である承明門をくぐると白砂を敷き詰めた広い南庭があり、そこに面して内裏の正殿である紫宸殿（ししんでん）が佇んでおり天皇元服や立太子礼、譲国の儀や節会など様々な儀式が行われ、やがては天皇の即位礼もこの紫宸殿にて執り行われる事となりました。 平安宮采女町 天皇の居所である内裏の西北にあった采女町は、主に天皇の食膳の給仕を職掌とした女官が伺候する区域であり、その西隣には天皇の食膳を管理をする内膳司がありました。 平安時代の采女は宮中の女官であり、天皇・皇后の側近として仕え、食事の世話や日常の雑事などに携わりました。 采女の制度は、古墳時代後期頃、地方豪族が朝廷への服属の証として自らの子女を出仕させたことに始まり、律令制では諸国の郡司一族の子女のうちから容姿端麗な者を出仕させて、宮内省采女司（うねめのつかさ）が管理しました。 采女の宿所や詰所となる采女町は天皇が住まわれた内裏に近い場所にあったことが、陽明文庫本「宮城図」などに記されています。 |
